高齢出産と並び、現在の妊娠・出産事情におけるもう一つの大きな特徴に、不妊治療が挙げられます。不妊の原因はその人によってさまざまですが、子供が欲しいと思っているのに、医学的な処方を受けないと妊娠できない状況にある人が、多くなっています。長年不妊治療をしてきて、気が付いたら高齢出産の年齢になっていた、というケースは少なくありません。不妊治療と高齢出産の関係を見ておきましょう。
晩婚化が出生率を下げているという社会現象が話題になって、数年が経ちますが、その背景には晩婚による不妊リスクの増加があります。年齢が高くなることにより、妊娠する能力(妊孕力)が徐々に低下し、40代で自然妊娠する確率は数パーセントにまで落ちると言われています。30代以降は、不妊の原因となる婦人病の罹患率も高くなります。高齢出産とはいえ、妊娠できたことは何より喜ばしいことなのです。
不妊治療は、一般不妊治療に2年位、高度生殖医療に3年位という長いスパンで治療が進められます。長ければ5年間を不妊治療に費やすことになるかも知れません。30歳で治療を始めたとしても高齢出産の年齢で初めて妊娠・出産する、ということは、十分にありうる状況です。こうしたことも考えに入れて、自分が何歳くらいで赤ちゃんを産みたいかを、もう一度よく考えておく必要がありますね。
また、不妊治療の後にめでたく妊娠できたというケースでは、多胎妊娠の確率が高いのも特徴です。自然妊娠の場合では、高齢出産だから多胎妊娠が多いということはありませんが、不妊治療(高度生殖医療の場合)の過程において、多胎妊娠になるケースは少なくありません。多胎かどうかは妊娠6週頃から判断できるので、医師の指示に従って、安全に出産できる方法を選択することが重要です。
「高齢出産は怖いから産まない」という選択をするかたも中にはいることでしょう。しかし、20代で出産しても、大変なお産をする人はたくさんいます。なぜ高齢の人だけが、出産のリスクについて知りたがるのでしょうか。若い女性は、それほどリスクの情報を欲しがっておりません。それは出産について自信があるからでしょう。
そして「なんとかなる」と思えるのも若さだからかもしれません。老化とは、そういう勇気を失ってしまい昨日と同じようなことしかできなくなっていくことなのです。20代に出産する人たちも、たくさんの人が帝王切開や流産をしていますし、染色体異常で赤ちゃんを出産することもあります。それでも「やるしかない」と思ったらがんばれるのではないでしょうか。
応援してくれる人は、あなたのまわりにきっといるはずです。もしも、周りにいなければ地域の育児サークルや保健センターなどへ誰かを捜しに出かければきっと道が見えてくるのではないでしょうか。高齢出産で子供を持てば、多くの人が今までと違って自分を発見したような気分になるとおもいます。大人だけの世界で長く生きてきた人にとって予定通りに行くことや、だれかが安全性を保証してくれることに慣れすぎてしまい出産や赤ちゃんには振りまわされるような感じがすることがあります。
しかし、子供や老人、病人、さまざまな人から世界は成り立っています。そしてみんな不確実な命を1つずつ持っており、ある人はその力が弱いけれど、それでも大事に生きています。妊婦さんになるということは、ある意味、若くても高齢でも命がけなのです。そして、元気な子に恵まれれば本当にありがたく感じることができますし、自分の命にも感謝できるのではないでしょうか。