高齢出産が大変なことだなんて、これっぽっちも考えてもいませんでした。というのも私は学生時代からスポーツ全般大好きで、社会人になってからもテニスサークルで毎週のように練習と大会に明け暮れており、体力にだけは自信があったからです。職場の同僚だった主人と結婚したのは28歳でしたが、二人ともテニス仲間との付き合いのほうが楽しく、また共働きということもあって子供は先延ばしにしていました。
特に子供を作ろうと思ったわけではなく、思いがけず妊娠が判明したのが36歳。初めて産婦人科の門をくぐり、妊娠を告げられましたが、最初の診察でなんと子宮筋腫が見つかってしまいました。ごく小さいものだということで経過を見ることになったのですが、妊娠しているのに大丈夫なのか、赤ちゃんに影響はないのか、そればかり気になるようになってしまいました。健診の度に、筋腫が大きくなっておらず赤ちゃんがちゃんと大きくなっているか、と、そればかりを先生に聞いていたように思います。
仕事も続けていましたが4ヶ月目でお腹に痛みを覚え、驚いて受診すると切迫流産とのことで、自宅安静を言い渡されてしまいました。理解のある職場だったので、そのまま産休に入ることになり、幸い流産は免れたものの、その後もいつもなんとなくお腹が張っているような気がして安心できませんでした。毎日気を張っていたせか、安定期に入る頃には重度のマタニティー・ブルーに。自分の体力を過信していたことをすごく後悔したし、何もせずにただ安静にしているだけの生活にも、疲れてしまったのだと思います。何もやる気が起きず、主人を会社に送り出してからずっと横になっていることも多い日々でした。それでもいいんだよ、と主人は言ってくれましたがその言葉すら素直に受け止められなくて、何もしないでいることのつらさがあなたには分からない、と主人の前で大泣きしたこともあります。
6ヶ月目を過ぎた辺りから徐々に動けるようになってきて、気分も持ち直しましたが、それまでは本当に人生で一番つらい時期だったかもしれません。流産の危険を脱しても、今度は早産の心配をせねばならずあまり気楽にはできませんでしたが、妊娠後期に入ると開き直りの気持ちも出てきました。なんとか臨月まで妊娠を維持する事ができ、筋腫が子宮頸部にあったため緊急帝王切開での出産になりましたが、無事女の子が生まれました。
35歳以上で初産の場合には、一般的にいうと「高齢出産」と呼ばれます。35歳以上の出産でも、2回目以降の出産に関しては「高齢出産」とは呼ばれないことをご存知ですか?初めての出産と2回目以降の出産では、産道の柔らかさや骨盤の状態などが大きく異なるという観点から、区別されるようになったそうです。高齢出産は、全体の割合からすると、まだまだ少数派です。
厚生労働省の情報によると、2005年における35歳以上の初産は全体の約5%という数値が出ているからです。しかし、高齢出産は増える傾向にあります。その理由の一つに、医療の進歩のお陰で年齢の高い女性が安全に出産することができるようになった点が挙げられます。また、女性の社会進出が進んだため世の中では晩婚化がすすでいます。このような事柄も社会的な背景として考えられます。
高齢出産にはさまざまなリスクが伴うと巷では言われています。例えば、難産になりやすいとか、流産しやすい、ダウン症候群などの染色体異常が起こる確率が高くなったり、妊娠高血圧症候群になりやすい、というような点です。確かに、統計上の数値が示すこれらの確率の年齢による変化は、無視することはできません。しかし、これらのリスクは、数ある妊娠・出産のリスクの中の、一部に過ぎないのです。また、35歳を境に劇的に変化が訪れるわけではありません。35歳以上の妊婦さんが必ずこれらのリスクに見舞われるということではありません。