高齢出産のマタニティーライフ

まず、妊婦さん全般に言えることですが、妊娠中は禁煙・禁酒を敢行し、安易に薬を服用しないようにする必要があります。また、むくみやしびれ、腰痛などのように、大したことのないように思える症状にも、よく注意するようにします。これらが妊娠高血圧症候群(以前は妊娠中毒症と呼ばれていました)などの症状であることも少なくないからです。体重管理を心がけ、太り過ぎないようにすることも大切です。

 

次に、高齢出産ならではの注意点を挙げます。「高齢出産のリスク」のページで述べましたが、高齢出産においては流産のリスクが若干高くなります。現在では、切迫流産と診断された場合でも赤ちゃんの心拍が確認されていれば、ママの努力次第で妊娠を継続することが、かなり高い確立で可能になっています。おなかの張りや少量の出血といった、切迫流産の兆候を見逃さず、すぐに医師の診断を仰ぎましょう。

 

年齢が高くなると発症率が上がるとされているのが、妊娠高血圧症候群です。また、妊娠によって発症、または認識された糖尿病については妊娠糖尿病と呼ばれ、胎児の器官形成期にあたる妊娠初期に、特に注意が必要です。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病に関しては次のページで詳しく説明しています。

 

仕事を持つ高齢出産の妊婦さんには、会社への報告や産休・育休のための仕事の調整などが必要となります。職場の理解を得て、気持ちよく出産や育児に取り組めるようにしたいものですね。そのためにも日頃から職場で円滑な人間関係を構築しておくことが大切です。忙しい仕事に従事しているため妊娠するタイミングまで上司と相談した、という人もいますよ。

 

高齢出産での妊娠期間中は、何事においても無理をしないことが鉄則です。また、ちょっとした症状でもあなどらず、できるだけ医師の判断を仰ぐことが大切です。出産にむけての体力作りに励んだり、母親学級に参加したり、マタニティー用品や育児用品を揃えたり、各種の申請手続きを行ったりと、妊娠期間中にすることは意外と多いものです。上手にコントロールして無理のないように取り組んでください。

高齢出産の妊婦さんに注意してほしい症状の一つに、妊娠高血圧症候群があります(以前は妊娠中毒症と呼ばれていました)。妊娠によって体にかかる負荷に対し、体が対応しきれない状態になることによって引き起こされます。具体的な症状としては、高血圧とタンパク尿です。タンパク尿のみで高血圧が伴わない場合は、妊娠高血圧症候群とは診断されません。お腹の赤ちゃんが大きく育つほどに、ママの血管や腎臓などにかかる負荷も大きくなってくるため、妊娠後期に発症しやすくなります。

 

高齢出産の妊婦さんは妊娠高血圧症候群になりやすいと言われています。高齢での妊娠は体への負荷が大きすぎると考えられているためですが、高齢出産であっても妊娠高血圧症候群になるかどうかは、個人差が大きいものです。高齢出産の人より、もともと高血圧や糖尿病の人やカロリーや塩分の多い食事を続けている人の方が、この病気にかかる危険性は高いと言えます。食事の工夫や十分な休養を心がけることで、高齢出産であっても妊娠高血圧症候群にかかるリスクを低くすることができます。

 

妊娠糖尿病は、妊娠して初めて発症した(または認識された)糖尿病のことを言います。糖尿病は遺伝的な要素も多いですが、年齢が高くなるにつれ発症しやすくなる病気ですので、高齢出産の場合は血糖値のチェックをしておくことをお勧めします。妊娠糖尿病は、妊娠高血圧症候群や流産・早産、また、胎児奇形や胎児死亡、新生児の呼吸障害などを発症しやすくします。このため、特に胎児の器官形成期である妊娠12週未満のうちに検査・発見をして、治療を進めることが大切です。食事療法で目標血糖値を保つことで、治療が進められます。

 

高齢出産の場合、妊娠糖尿病に対して、もう一つ注意しなければならないことがあります。妊娠糖尿病は、出産後正常に戻ることが多いのですが、40代や50代で再発することがあるという点です。高齢で出産した場合、再発するまでの期間が短くなるため、子育て真っ最中の時期に糖尿病が再発してしまった、というケースが心配されます。こうしたことがない様に、出産後の体の回復と、健康管理に十分に気をつける必要があります。

切迫流産とは、赤ちゃんを流産してしまう危険が切迫している状態のことを言います。お腹の張りや少量でも出血などがあった場合は、すぐに医師の診断を仰ぎましょう。せっかく授かった赤ちゃんですからできれば流産はしたくありませんが、妊娠初期(妊娠12週以前)に起こる自然流産は防ぐことができないのが実際のところです。自然流産は、赤ちゃんの染色体異常が原因でおこるものだからです。12週未満(または赤ちゃんの心拍が確認されていない時期)に切迫流産と診断された場合、薬を処方されることもありますが、残念ながら根本的な治療ではありません。妊娠が継続する場合は自然に症状が落ち着きますので、できるだけ安静に過ごしてください。

 

妊娠12週以降の切迫流産に関しては、適切な対応をすることで妊娠を継続できる場合もあります。12週以降の切迫流産の場合、流産の主な原因は、細菌の子宮内感染による絨毛膜羊膜炎や子宮頚管無力症などです。過労やストレスも切迫流産を招く原因になりますので、無理は禁物です。切迫流産と診断されたら、適切な治療を受け、安静に過ごすようにしてください。

 

早産は、妊娠22週から37週までの間に出産することです。赤ちゃんを早産してしまうかもしれない状態になってしまうことを、切迫早産と言います。早産の原因は様々ですが、流産と同じく、絨毛膜羊膜炎や子宮頚管無力症が主な原因と考えられています。早産は高齢出産だからなりやすいということはありませんが、喫煙や合併症、疲労など、ママ側の理由で引き起こされることが多いので、注意ガ必要です。

 

症状は、お腹の痛みや張り、出血、おりものの増加、破水などですが、切迫早産の場合、こうした症状が自覚できないことも多くあります。切迫早産に気付く間もなく、また治療を行う間もなく、早産が進行してしまうことも多いのです。安定期といわれる22週以降も検診をきちんと受け、気になる症状があればすぐに病院で診てもらいましょう。切迫早産と診断された場合は、適切な処置を受けた上で安静に過ごすようにし、少しでも長く赤ちゃんがお腹の中にいられるようにします。

妊娠中は、自分の身体と赤ちゃんの成長に必要な栄養を、毎日の食事でバランスよく摂取する必要があります。穀類やたんぱく質、野菜類など、1日に必要な量をきちんと把握し、規則正しく食べることはとても大切です。妊娠中、特に大事な栄養は鉄、カルシウム、カリウム、亜鉛などのミネラル分と、葉酸、ビタミンD、Eなどのビタミン類です。逆に取りすぎに注意したいものは、塩分、脂肪分、食品添加物などです。

 

具体的にどのような食材を取るようにしたらよいかを見てみましょう。まず、鉄、カルシウムは、牛乳、ごま、ひじき、大豆、ほうれん草などの青菜、あさり、小魚などに多く含まれます。亜鉛はかきやホタテなどの貝類、ごま、玄米など、カリウムはアボガド、バナナ、緑黄食野菜などを摂取するようにします。他にブロッコリー、青菜類、いちごなどに葉酸が、青魚、きのこ類などにビタミンDが,かぼちゃ、とうもろこし、ナッツ類などにビタミンEが多く含まれています。

 

妊娠中に必要な栄養は妊娠初期、中期、後期で変化します。厚生労働省の食事接種基準では、妊娠中の必要栄養量は非妊娠時の必要量にプラスする形で設定されていますので、非妊娠時の必要量を把握しておくと便利です。また、30歳を境に必要量が若干変わっており、エネルギー量や脂質は、30歳以上は少なくなっています。また、カルシウムも30歳以上は少なくなっていますが逆にマグネシウムの必要量は多く設定されています。こうしたことに気をつけて、毎日の食事を見直してみましょう。

 

ママの身体を健康に保ち、お腹の赤ちゃんを健やかに成長させるために、以上をよく把握して、妊娠中の食事を大切にしてください。妊娠中、塩分やカロリーの高い食事を続けることは、自分からリスクを招き寄せるようなものです。食生活の改善は、高血圧を防ぎ、体重コントロールや腰痛・便秘などの解消にも大きく役立ちます。バランスのよい食生活を心がけ、適切に食事管理を続けたことで、自信をもって出産に臨めたという声も多くあります。

妊娠生活の中に取りいれて欲しいことの一つに、妊婦体操があります。安産のための体作りである妊婦体操を、いくつか紹介しましょう。骨盤体操やストレッチは、股関節を広げて出産の体勢を取りやすくする、骨盤底の筋肉の血行をよくして柔軟にする、などの効果があります。高齢出産の場合、産道が硬くなっているので難産になりやすいと指摘する声もあります(もちろん個人差はあります)。骨盤体操やストレッチに取り組むことで、出産に少しでも自信を持てるようになるといいですね。骨盤の開きをよくする運動と産道を柔らかくする運動を紹介しますので、ぜひ無理なく取り組んでみてください。

 

持久力を高め、体重管理にも役立つウォーキングは、妊婦さんにお勧めの有酸素運動です。腰痛、背痛、静脈瘤などの緩和にも有効です。また、家にこもりがちな妊婦生活のなかで、積極的に戸外へ出ることは、ストレス解消にもつながります。ウォーキングを始める際は、念の為、医師に始めてもよいかどうか確認した方がよいでしょう。無理をせず、1日に15〜20分程度におさえて、自分にあったスピードで、お腹の張りや体調に注意しながら取り組むことが大切です。

 

他に、出産時に必要な腹式呼吸の練習や、腹筋の強化、血行促進のためのマッサージなどもお勧めしたい妊婦体操です。また、母乳での育児をしたいなら乳房マッサージも徐々に進めるとよいでしょう。乳房マッサージはお腹の張りなどを感じたらすぐにやめ、体調に合わせて行ってください。病院や母親学級で指導が受けられますが、最近は36週以降からとしているところもあります。

 

骨盤体操やウォーキング、ストレッチなどの妊婦体操を通して、安産の為の体を作ることは、出産後の育児にも役立ちます。お産が順調に行けば、産後の回復もよいことが見込め、退院時にも体力的、精神的に余裕を持って育児に臨めるからです。高齢出産のママからは、「妊娠と出産で燃え尽きてしまい、その後の育児はヘトヘトの状態で始まった」という声を聞くことがよくあります。そうした状況に陥ることのないように、ぜひ妊婦体操で体力を培っていただきたいと思います。